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十六夜日記
二村山おこえてゆくに、山も野もいと遠くて、日もくれはてぬ、 はる〴〵と二村山お行過てなほこえたどる野べの夕やみ、やつはしにとヾまらんといふ、くらさに橋もみえずなりぬ、 さヽがにのくもで危き八橋お夕ぐれかけて渡りぬるかな〈◯又見玉葉和歌集、ぬるかな作かねぬる、〉