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富士歴覧記
十九日〈◯明応八年五月〉八はしお見に、人々さそひまかりてみ侍れば、きヽおよびしより、かたちもなくあれはてヽ、かきつばたなども、心うつくしくみえ侍らず、あはれなるこヽちしてよめる、 かつらぎの神はわたさぬ八はしもたえてかずなきくもでなりけり かぎりあれば思ひわたりしやつ橋お七十ちかき齢にぞみる 杜若みながらたえてむらさきの一もとのこる花だにもなし