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東行別記
八橋 名におふ三河の八橋は、こヽぞその古跡なりと人のおしへけれど、名ばかりにて今はそのしるべだに残らず、かの業平のむかしがたりのみぞまのあたり見るやうに覚え侍る、 ふりにたるあとだに消ぬかきつばた言葉の花お千代にのこして