[p.0276]
太平記

俊基朝臣再関東下向の事 傾く月に道見へて、明けぬ暮れぬと行く道の、末はいづくと遠江、浜名の橋の夕塩に、引く人もなき捨小船、沈みはてぬる身にしあれば、誰か哀と夕暮の、晩鐘鳴れば今はとて、池田の宿に著き給ふ、