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海道記
四月〈◯貞応二年〉四日の暁、都出し朝よりも雨にあひて、勢田の橋のこなたにしばらくとまりて、あまじたくしてゆく、けふあすともしらぬ老人おひとり思ひ置てゆけば、 おもひおく人にあふみのちぎりあらば今かへりこん勢田のなが橋