[p.0321]
東関紀行
曙の空になりて、せたの長橋うち渡すほどに、湖はるかにあらはれて、かの満誓沙弥が比叡山にて、此海お望つヽよめりけん歌おもひ出られて、漕行舟のあとのしら波、誠にはかなく心ぼそし、 世中お漕行舟によそへつヽながめし跡お又ぞながむる