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飛州志
一土地
名所位山細江あさむづの橋爾布川 旧のあさむづの橋跡は、同郡〈◯大野〉上呂郷尾崎村にあり、 国説に雲く、古昔のあさむづの橋跡は今の尾崎の済にて、益田川お横わたしする所也、是お済て往来するお今も位山通りと雲、古の本道也、今の本道小坂通りは、天正の頃山渓お切開き、小坂の谷川に橋おかけて旧号お称して、あさむづの橋とも雲ひ小坂の橋とも唱へり、按ずるにあさむづの跡と称する尾崎の済も、里民の口碑に伝ふるのみにて、さだか無らざりし処に、はからざるに元文庚申の秋八月、益田川洪水して此船わたしする岸深く破れたる其地中より、古の台木二本顕れ出たり、故に全く古橋の跡たることお知りぬ、〈其木性は檜の大木也、周りは朽ぬれども中真は損せず、則元の如く土中に埋めたり、又尭恵の紀行に位山細江は在て、あさむづ無し、既に基頃廃せしものか、◯中略〉今所在之あさむづの橋、益田郡小坂郷小坂町村にあり、国説に雲く、是お小坂通と号して今の木道たり、桟道に作る、〈凡縦十三丈、横一丈四尺、〉