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木曾路名所図会

神橋(みはし)、御山〈◯日光〉の入口にあり、欄干葱宝珠あり、いづれも朱塗なり、此橋はいにしへ山管の蛇の橋となづけて、開基勝道上人はじめて登山し給ふとき、此川に至りて橋なし、深砂大王忽然として現じ、青赤の二蛇お放て橋となし給ふ、上人傍なる山菅お刈て蛇の脊に覆ひ、渡たまふゆえ名づけたり、中頃より神橋と呼ぶ、橋の行桁三通あり、これお乳の木といふ、西の端一の乳の木引籠し所お、竜宮へ通じけるよしいひ伝ふ、此橋の内に明神お勧請あるゆへ、常に雑人あるは不浄の者おわたさず、橋かけかへの時は神事法楽の規式あり、