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東路のつと
日光山、〈◯中略〉坂本の人家は数おわかず続きて福なる地とみゆ、坂本より京鎌倉の町有て市の如し、こヽよりつヾらおりなる岩にも伝ひてよぢのぼれば、寺のさまあはれに松杉雲霧まじはり、槙檜原の峯幾重ともなし、左右の谷より大なる川流出たり、おち合ふ所の岩のさきより橋あり、長四十丈にも余りたらん、中お反らして、柱もたてず見えたり、山菅の橋と昔よりいひわたりたるとなむ、此山に小菅生ると万葉にあり、ゆへある名と見えたり、