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視聴草
五集六
藤橋之記 越中正明川、藤の釣橋は、立山へ行く道に渡せり、長さ凡廿七八間、唯藤蔓にて造り掛けたるなれば、其危き事いふばかりなし、諸州より立山禅定するもの十人に九人は、此橋お過る事お恐れて、援より帰る人多し、因て此所お伏拝と言よし、彼釣橋お越へ、段々難所あり、雪お踏分て五里許行、又壁お立たる如き所お二里登りて、其上に立山権現の社有、〈◯中略〉 藤橋の花や命の延ちヾみ 瓢馬