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本朝俗諺志

錦帯橋 防州岩国の城下に錦帯橋といふあり、川幅凡百七十間、山川にして常は深からず、洪水の時は両岸に満る、橋は五橋にかけ、四箇所の橋台、石垣お菱のかたちに築き、その角お水上水下にあてヽ水お避、鉄石お以千切銯とし、何ほどの満水にも破るヽ事なし、岸の両端二橋は橋杭あり、中の三橋ははし杭なし、行桁お橋台より段々持出して梯のごとし、板橋羽掻に合、槙はだ込み、そのうへお漆喰お以かためければ、雨もる事なし、五橋ともに大きに反りて風景不斜、山は富士、滝は那智、橋は錦帯、是日本三つの矩摸なり、