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藤河の記
廿六日〈◯文明五年五月〉北川といふ川ばた水落す、法印、伊賀の住人におほせつけたるによりて、藤長などいふ者どもきたりて、こしおかたにかけてわたす(○○○○○○○○○○○○)、 いかヾせん此五月雨に北川のあさ瀬ふみ渡る人なかりせば、〈◯中略〉廿八日、菩提寺おたちて、上野小田寺など雲所おとおる、たやまごえは、川の水いまだわたりがたかるべしとて、かさぎどおりにおもむく、島の原川といふ河おわたりて、 しまの原川せの浪のかちわたり(○○○○○)たやまごえおばよそになしつヽ