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源氏物語
四十七角総
廿六日、ひがむのはてにてよき日なりければ、人しれず心づかひして、いみじくしのびていて奉る、きさいの宮〈◯明石中宮〉などきこしめしいでヽは、かヽる御ありきいみじくせいし聞え給へば、いとわづらはしきお、せちにおぼしたることなれば、さりげなくともてあつかふもわりなくなん、舟渡りなども所せければ、こと〴〵しき御やどりなどもかり給はず、そのわたりいとちかきみさうの人の家に、いと忍びて宮〈◯匂〉おばおろしたてまつり給ておはしぬ、