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太平記
十四
将軍御進発大渡山崎等合戦事 大渡には、新田左兵衛督義貞お総大将として、里見、鳥山、山名、桃井、額田、田中、籠沢、千葉、宇都宮、菊池、結城、池風間、小国、河内の兵共一万余騎にて堅めたり、〈◯中略〉明れば正月〈◯建武三年〉九日の辰刻に、将軍〈◯足利尊氏〉八十万騎の勢にて、大渡の西の橋爪に推寄、橋桁おや渡らまし、川おや渡さましと見給に、橋の上も川の中も敵の構へきびしければ、如何すべしと思案して、時移るまでぞ引へたる、