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催馬楽入文

山しろのこまのわたりのうりつくり、今按に、和名抄に、山城国大狛、下狛、之毛都古末(しもつこま)、行囊抄南遊下に、椿井村、林村、上狛村とついでヽ雲、狛村は自路左方、行程十余町に在、或は狛の大里村とも雲、此辺狛郷也、木津の渡に近し、名所也、昔熟瓜の名物お出したる所なり雲々、或紀行雲、狛の里は、木津川のわたりのこなたなり、東の山際にあるお見やりて、〈歌略〉とはいひけれど、行道遠し、日もたけぬといへば、木津川おわたる、万葉に、狛山になくほとヽぎす泉川わたりおちかみこヽにかよはず、〈已上行囊抄〉かヽれば古歌に(○○○)、狛の渡とよめるも(○○○○○○○○)、此木津川の舟渡しの事也(○○○○○○○○○○○)、今此にわたりと雲は、あたりの転語也、混ずべからず、