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詞林采葉抄

佐野舟橋 此橋在所、先達歌枕処々にかはれり、然而当集〈◯万葉集、中略、〉同〈◯十四〉歌雲、 くるしくもふりくる雨かみわがさきさのヽわたりに家もあらなくに 此歌は近江国の佐野にや、又大和歟、此歌おとりて、雨お雪にとりなしてよみ玉へる、 駒とめて袖うちはらふかげもなしさのヽわたりの雪の夕暮 京極黄門 月に行さのヽ渡の秋の夜は宿ありとてもとまりやはせん 津守国助 あまの原月にこぎ出し心ちしてしばしやすらふさのヽ舟ばし 家隆行末の河瀬もみえずしげりあひて草葉に渡すさのヽ舟橋 冷泉黄門