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栄花物語
三十八松の下枝
二月はつか、〈◯延久五年〉天王寺に詣させ給、この院おば一院とぞ人々申ける、後三条院とも申めり、〈◯中略〉廿一日〈◯中略〉橋もとのつといふ所に、くだらせ給て御覧ずれば、くに〴〵の船どもヽ、御ふね共も、めもはるかによせわたしたる、みな御ふねどもにたてまつりぬ、〈◯中略〉廿二日のたつのときばかりに、御船いだしてくだらせ給ふ程に、江口のあそび、ふたふねばかりまいり、禄などおぞたまはせける、