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大神宮参詣記
康永元年十月十日あまりのころ、大神宮参詣のこヽろざしありて、〈◯中略〉松風いとさむき三渡の(○○○)浜にもつきぬ、はるかなる入海にむかひいて、旅行の人のやすらふにことヽへば、とおき道おめぐらじとて、夕のひるまおまち侍るなりとこたへしかば、ときうつる程、かしこに休み侍りて、心にうかむことお口にまかせて申すてぬ、 渡口(○○)無船憩樹陰 漁村煙暗日沈々 寒湖帰去途程近 又有松涛驚客心