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海道記
十二日、〈◯貞応二年四月、中略、〉天中川(○○○)おわたれば、大河にて、水面三町ばかりあれば、舟にて渡る、はやく波さかしくて、さほもさしえねば、大なる朳おもちて、よこざまに水おかきてわたる、かの王覇が忠にあらざれば、滸池河澌むすぶべきにあらず、張博望が牛漢、浪にさかのぼりけん、浮木のふねのかくやとおぼえて、 よしさらば身おうきヾにて渡りなんあまつみそらの中川の水