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扶桑拾葉集
二十八
あづまの道の記 藤原光広 廿五日、かなやおたつ、みな人、日のかさなるまヽにつかれつヽ、朝居してたつことおそし、大井河おかちにて渡りて見んとてわたる、大なる石かぎりなく流て、足の踏どなし、河ごしといふ者つかずしては、一歩も成がたし瀬は三有、是も時によりてかはる也、歌枕などにも入て名所なれば、目もとまりぬ、河原遥に行て思ひよりけり、 君が代の数に取とも大井河河原におほき石はつきめや