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東海道名所記

富士川は、吉原と神原との真中なり、大河にして水はなはだはやし、〈◯中略〉されども往来の人は、利分にはせてこりもせず、いくたびもわたりて、かせぐからに、たヾ山中にすみて、木おこりしばおかりたるが、心の楽しびはましぢやと、山家のものはおもひぬらん、おとこ、 富士川のながれわたりやよの中の人の身過のためしなるらん