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異本曾我物語

さる程に、鎌倉殿〈◯源頼朝〉は、諸国の武士共お召具して、建久四年癸丑四月下旬、鎌倉お出給ひ、〈◯中略〉七け日と申に、三原長倉の御狩も過ければ、上野国へ御越あり、大戸、岩永、三倉、室田、長野も狩くらし給ひつヽ、角田川おも打過、大渡に著せ給ひぬ、鎌倉殿遥に眺望まし〳〵て、是やこれ在五中将の都鳥に事問給ひし名所ぞかしと打詠給ふ、折ふし梶原、 角田川わたる瀬ごとにこととはん昔の人もかくや有けん