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長門本平家物語

少将〈◯藤原成経〉も判官入道も〈◯平康頼〉しほ風のさたにも及ばず、今一日もといそぎて、硫黄津といふ所にうつりにけり、僧都〈◯俊寛〉あまりのかなしさに、船津まできたりて、二人の人人にすこしもめおはなたず、少将の袖に取つきても涙おながし、判官入道の袂おひかへてもさけびけり、