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東路のつと
江戸のたてのふもとに一宿して、すみだ川の河舟にて、下総国葛西の庄の河内お半日計、よしあしおしのぐおりしも、霜枯は難波の浦にかよひて、かくれて住し里々見えたり、おしかも、都鳥、堀江こぐこヽちして、今井といふ津よりおりて、浄土門の寺浄興寺にて、むかへ馬人待ほど、住持出て、ものがたりの序に、発句所望有しに、とかくすれば程ふるに、立ながら、 ふじのねは遠からぬ雪の千里かな