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白山本神皇正統記
後醍醐
又のとし戊寅の春二月、〈◯延元三年〉鎮守府大将軍顕家卿、また親王〈◯後村上〉おさきだて申し、重ねて打のぼる、〈◯中略〉同五月、和泉の国石津といふ所にての戦に、時やいたらざりけん、忠孝の道こヽに極り侍りにき、苔の下にうづもれぬものとては、たヾいたづらに名おのみぞ留めし、心うき世にも侍るかな、