[p.0531][p.0532]
平安紀行
沖津の宿に至りぬ、庵原民部入道禅道、駕おまげて、からうたふたつつくりこされしに、みづからにかはりて僧昌首座、これも詩にて心ばへあはれに、旅のこヽろばへうつしやりぬ、見わたす景色、そのかみみしにもはるかにまさりたり、 藻塩やく煙もたえてたび人の袖ふきかへす沖つうら風