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東海道名所図会

粟津松原 雲払ふあらしにつれて百船も千ふねも波のあはづにぞよる 近衛関白時熙公 粟津晴嵐 嵐度栗津春興長、吹霞吹雨似相狂、山花片々一蘆波、湖上閖鴎夢也香、 相国寺林長老 義仲寺〈馬場村にあり、此所木曾義仲戦死の地なり、仏堂に牌あり、又家臣兼平の牌も安ず、◯中略〉 芭蕉翁墳〈義仲寺境内、義仲塚に隣る、又茅室にはせお翁の木像お安ず、(中略)什宝に蕉翁の椿の杖、筆の物、かず〳〵あり、これお蔵むるところお粟津文庫といふ、近年此真蹟集、印板して世に行ふ、〉義仲寺に翁お葬りて なきがらお笠にかくすや枯尾花 其角 はせお翁のかくれし翌年墳に詣て 志賀の花湖の水それながら 素堂