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筑前国続風土記
二十一志摩郡
唐泊 今津より一里半西にあり、海辺なり、万葉集十五巻に、志摩郡韓亭とかけり、むかしは今津に異国の舟来りあつまりしが、このところも今津とその浦めぐりつらなりて近きゆへ、韓人の宿する亭お置れしにより、韓亭といへるにや、亦能古島と唐泊は、そのあいだ二里余の海おへだてたれども、むかひに相対してちかく見ゆ、いにしへ人、から泊のこの浦波とつヾけてよめる歌より、境趣に協へり、東の山側に大岩多し、このところお牛の谷といふ、この山の上に冑石といふ丸き岩あり、