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東遊雑記

野代といふ所は、湊にて千四百軒の地にて、大概のよき町り、野代川流れ、川上は奥州南部より流れ出て、十九里の間は川舟往来して、此辺の産物皆々此湊に出て、北国九州および大坂の廻船も数多入津して、交易の業あるゆへに、商人多く豪家に見へ、娼家もありて、言語も外より見れば大ひに勝れたり、羽州の内にては最上川第一にて、第二は此所お流るヽ野代川なり、