[p.0587]
日向経緯略記
日向州〈◯中略〉西より流れ来るお阿加河と雲ひ、東より来るお小出河と雲ふ、此二つの河南に流れて、八戸(はつと)村の西辺に来て、合して一河となり、南流して栗野名村と河島村の間お流れて、遂に此の湾内に注ぐ、此お以ての故に、此海湾は頗る運送便利の港なり、此お【県河】(あがた)【の港】と名け、亦東海港とも雲ふ、又此の県河港の南み五里許にして、細島(○○)と雲ふ処あり、此処も又一箇の海湾にして、天然に成れる海港なり、凡そ此の隣国に、細島より便要なる港はあることなし、故に日向一国の諸候、関東へ交代の砌りは、上るも下るも皆此の処より舶お出入す、飯肥の伊東侯などは、自国にも港は数け処あれども、此処まで四日路来りて船に駕ること常例なり、是のみにても此の処の便要なるお知るべし、故に此の細島は、諸国の海舶輻湊し、日州第一の都会なり、