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北海道志
七海
渡島国 函館港  亀田郡に在り、北緯四十一度四十六分十秒、東経百四十度四十四分三十八秒、東西一里二十町五十八間、南北一里二十四町三十三間、深凡八十九尺、港口西南に向ふ、安政六年六月、開港して互市場と為す、地勢海に斗入すること凡三十町、尽頭に山あり、屈曲して巴字形お為す、故に八風虞なし、昔貞享、元禄の間より、此港の松前、江差に勝るお知り、海舶漸く輻湊し、又漁利多お以て亀田の民居お此に移し、又他邦より来る者ありて、遂に繁華の地となれり、然るに此港南部佐井との間に亦急潮ありて北に瀉ぐ、和船は横絶猶難し、寛政以来漸く航路お弁知し、多く此お渡る、但秋冬は風涛壮猛、故に松前に渡ると雲、