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更科日記
暁より足柄山おこゆ、〈◯中略〉からうじて越はてヽ、関山にとヾまりぬ、是よりは駿河なり、よこばしりの関のかたはらに、いはつぼといふところ有、〈◯中略〉清見が関はかたつかたは海なるに、関屋(○○)どもあまたありて、海までくぎぬき(○○○○)したり、けぶりあふにやあらん、清見が関の波もたかくなりぬべし、〈◯中略〉美濃の国なる〈◯中略〉不破の関、あつみの山などこえて、近江の国おきながといふ人の家にやどりて、四五日あり、〈◯中略〉しはすの二日京にいる、〈◯中略〉関ちかく成りて山つらにかりそめなるきりかけといふものしたるかみより、丈六のほとけのいまヽであらづくりにおはするが、かほばかりみやられたり、〈◯中略〉こヽらの国々お過ぎぬるに、駿河の清見が関と、相坂のせきとばかりはなかりけり、