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長明無名抄
一会坂に関の明神と申は、昔の蝉丸なり、かのわらやの跡お失はずして、そこに神となりてすみ給なるべし、いまもうち過るたよりにみれば、昔深草のみかどの御使にて、和琴ならひに良峯宗貞、良少将とて、かよはれけんほどの事までも、おもかげにうかびて、いみじくこそ侍れ、