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更科日記
霜月の廿よ日いしやまにまいる、雪うち降つヽみちのほどさへおかしきに、あふ坂の関お見るにも、むかし越えしも冬ぞかしと思ひいでらるヽに、そのほどしもいとあらうふいたり、 あふ坂の関の山風吹声は昔聞しにかはらざりけり、関寺(○○)のいかめしうつくられたるおみるにも、その折あらつくりの御かほばかりみられし折、思ひでられて、年月の過にけるもいとあはれなり、