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昨日波今日能物語
嵯峨の大かく寺殿へ、おんごくのじゆんれいが参り、これはなにと申所ぞといふ、これは御もんぜきとこたへければ、三文にまけてけんぶつはなるまいかとて、いろ〳〵申た、五文のせき(○○○○○)とおもひしこと、口おしき次第なり、 ◯按ずるに、当時関銭の多寡に依りて其関所の呼名とし、三文お納むるものおば三文関と雲ひ、四文お出すものおば四文関など称へしお以て、如此御門跡お五文関と思ひ誤れるものありしなるべし、