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古事記伝

峡は袁と訓べきこと、谿八谷の例にて明(しる)し、尾に此字お書る例は、書紀抑徳巻に曲峡(まがりお)宮、神功巻に活田長峡国などあり、〈峡は、和名抄に、峡、山間峡処也、俗雲山乃加比とある如くなれば、尾には非ず、但し荊州記に、三峡七百里中、両岸連山無断処など雲る、彼山の長く連なれるさまお取て、尾に用ひたるにや、〉書紀には、蔓延於八丘八谷之間と書れたり、〈此余も、尾には、畝丘頓丘(うねおひたお)など、書紀には多く丘字おかけり、〉