[p.0706]
藻塩草
四山
坂〈名所〉 こ坂 ちとせの坂〈これ名所にもありと雲々、未勘、ちとせのさかには、卯づえおよめり、〉千代の坂〈あみだがみねにもよめり、又ちよのさか行と雲は、さかゆるによせたり、〉よろづ世の坂〈これもさかゆるにそへたる心か〉坂のふもと いつはたの坂〈えちぜん、そでふれ、我おしおもはヾ、〉いなり坂〈山しろ、おそくとく宿お出つヽいなりざかのぼればくだるみやこ人かな、〉大坂〈えつ中、或やまと、大さかおわがこえくればふたかみにもみちばながるしぐれふりつヽ、ふたかみとよめる時は、やまとかとおぼゆる也、いかヾたヾしえつ中にも、二かみと雲所あり、〉手子喚坂〈するが、こえかねて山にかねん、恋、やどりはなし、〉長坂〈山しろ、君がへん、ひむろ、〉うすいの坂〈上づけ、ひなぐもりうすいのさかおこえしだにいもがこひしくわすられぬかも、〉くま坂〈あふみ、長明しるすと雲々、〉久世鷺坂〈山しろ、神代より春はもえつヽ秋はちり、白鳥のさぎさかともよめり、松かげ、白つヽじ、卯花、又久世のさぎさかとつヾけねども、隻さぎ坂ともいへるか、〉八十須美坂〈きの国、手向もヽたらずやそすみさかと万に計り、〉まねき坂〈伊勢、まねきざかまねくおたれととひくればきりのはれまのお花成けり、〉藤代御坂〈同、ころもで、松、ふきあげのはま、〉御屋坂〈あふみ、こまつなぎおく、〉あふ坂〈あふみ、人だのめ、夕つけ鳥、恋、木の下露、さくら花、山人のちとせつけとてきれるつえ、すぎむら、もちづきのこま、鶯、すきまの月、ほとヽぎす、おちこち人、せきもる神、しのすヽき、さねかづら、〉あしがらの御坂〈さがみ、みへてそでふらば、家なるいもが、さやにみる神御さかとも、〉瓜生坂〈山しろ、顕昭説、しかへ鹿、きヾす、〉木曾御坂〈しなの、おざヽ、原、花、雪、夕立、こま、ぬさたてまつる、〉なら坂〈やまと、このてがしは、ほとゝぎす、〉行あひ坂〈きの国、さくら花、〉ゆ坂〈さがみ〉つヾらおり〈くらまの七まがりのさか(○○○○○○○)也、源氏、〉