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倭訓栞
前編八久
くき 日本紀に、洞の字岫の字およみ、新撰字鏡に、障巒おもよめり、洞は岩穴ありて、道お通ずるおいひ、岫は岩穴ありて、袖に似たるおいふ也、又漏およめり、古事記に自我手俣(たまた)久岐斯子也と見ゆ、義相通ふ成べし、くヾりの義、くり反き也、長明が東紀行に、くきが崎といふなる荒磯のはさまお行と見えたり、