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冠辞考
一阿
あまおぶね はつせの山 万葉巻十に、海小船(あまおぶ子)、泊瀬乃山爾(はつせのやまに)、落雪乃(ふるゆきの)、消長恋師(けながくこひし)、君之音曾為流(きみがこえぞする)、こは船の湊などに榜著たるお、船はつるといへば、はつせのはつに冠らせたり、さて泊瀬と書たるお、後の人のとませと訓しは、甚しきものなり、大和国城上郡の長谷は、古事記に、〈允恭条〉波都世能夜麻能(はつせのやまの)、雄略紀に、播都制能野麿(はつせのやま)、万葉に、波都世能夜麻(はつせのやま)など仮字に書たれば、動かぬ訓(よみ)也、