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北国紀行
おば捨山は、いづれの嶺お隔て侍るぞと尋ね侍るに、いたりて遠くは侍らねども、山川雲霧重なりて、此ごろいとあやしき事の侍る道にてなど聞えしかば、隻堂前の峯の上より遥かにながめ侍りて、 よしさらばみずとも遠くすむ月お面影にせん姨捨の山