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類聚名物考
地理十二
背山 せのやま 妹背山おも、いも山といへり、紀伊吉野の界に在りといへり、又増基の熊野紀行お見れば、しヽのせ山といふお、せの山とのみよめり、是は別山歟、又妹背山のせ山にや、妹背山の所在たしかならず、貝原氏の大和めぐりにも、此山の事お書り、その外古書に合せて考ふるに、さだかならず、再考おまつのみ、増基熊野紀行、しヽのせ山に寐たる夜、鹿の諦お聞て、うかれけんつまのゆかりにせの山の名お尋ねてや鹿のなくらん、今案に、此紀行に、前に吹上の浜にとまり、その次此山に舎りて、この次に岩代野に宿りしお思へば、吹上と岩代の間に在りとしられたり、