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宇治拾遺物語

今はむかし、七条に薄うちあり、みたけまうでしけり、まいりてかなくづれおゆいてみれば、まことの金の様にてありけり、うれしく思て、件の金お取て、そでにつヽみて、家にかへりぬ、おろしてみければ、きら〳〵として、まことの金なりければ、ふしぎの事也、此金とれば、神なりぢしん雨ふりなどして、えとらざんなるに、これはさる事もなし、この後も、此金おとりて、世中おすぐべしと、うれしくて、はかりにかけてみれば、十八両ぞ有ける、