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万葉集
三雑歌
詠不尽山歌一首并短歌 奈麻余美乃(なまよみの)、甲斐乃国(かひのくに)、打縁流(うちよする)、駿河能国与(するがのくにと)、己知其智乃(こちごちの)、国之三中従(くにのみなかゆ)、出立有(いでたてる)、不尽能高嶺者(ふじのたかねは)、天雲毛(あまぐもヽ)、伊去波伐加利(いゆきはばかり)、飛鳥母(とぶとりも)、翔毛不上(とびものぼらず)、燎火乎(もゆるひお)、雪以滅(ゆきもてけち)、落雪乎(ふるゆきお)、火用消通都(ひもてけちつヽ)、言不得(いひかねて)、名不知(なづけもしらに)、霊母(あやしくも)、座神香聞(いますかみかも)、石花(せの)海跡(うみと)、名付而有毛(なづけてあるも)、彼山之(かのやまの)、堤有海曾(つヽめるうみぞ)、不尽河跡(ふじかはと)、人乃渡毛(ひとのわたるも)、其山之(そのやまの)、水乃当烏(みづのたぎちぞ)、日本之(ひのもとの)、山跡国乃(やまとのくにの)、鎮十方(しづめとも)、座神可聞(いますかみかも)、宝十方(たからとも)、成有山可聞(なれるやまかも)、駿河有(するがなる)、不尽能高峯者(ふじのたかねは)、雖見不飽香聞(みれどあかぬかも)、 反歌 不尽嶺爾(ふじのねに)、零置雪者(ふりおけるゆきは)、六月(みなづきの)、十五日消者(もちにけぬれば)、其夜布里家利(そのよふりけり)、 右一首、高橋連虫麻呂之歌中出焉、以類載之、