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廻国雑記
なか田といへる所にて、はじめてふじおながめて、 言のはの道も及はぬふじのねおいかで都の人に語らん、夕あけぼのに、ながめのかはれることお、 俤のかはるふじのね時しらぬ山とは誰かいふべあけぼの、かの岳は、遠く行に随ひて、空にも及ぶ計に侍ければ、 遠ざかりゆけばま近く見えて鳧外山お空に登るふじのね