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桂林漫録
琉人詠歌 明和癸未歳来聘せる中山王の使者、読谷山(よみたにさ)王子が詠歌若干首、予が撰する所の琉球談に載せたり、其後寛政己酉歳来聘せる義湾(ぎのわん)王子が詠歌あり、 蒲原の間にて富士お見て詠める かぎり無き山お幾重かながめ来てそれぞとしるき雪の富士の根、安らかなる調なり、因に雲、俗に富士の砂、麓に落つれば、其夜の中に巓へ還ると、事文類聚に載す、陝西鳴砂山、砂州南、其砂或随人足而墜、経宿復還於山上、同日の談と雲ふべし、又呉越春秋雲、一夕自来曰怪山、富士山も怪山なる可し、