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信濃奇勝録
一筑摩郡
御岳(おんたけ) 御岳は、信濃一州の大山なり、岳の形大抵浅間に類して、清高これに過、毎年六月、諸人潔斎して登る、福島より十里、全く富士山に登るが如し、黒沢より四里にして、堂あり、夜中炬お照して峯に至る、祠あり、金剛童子と雲、こヽに熄(いこ)ひて明るお待、此辺五粒松多し、名づけて御松といふ、盛夏といへども山間に積雪有、草木生ぜず、又三里登れば絶頂に至る、二祠あり、一お王の権現といひ、一お日(ひの)権現といふ、