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倭訓栞
中編一阿
あさま 口語にいふは浅間の義、あさばともいへり、〈◯中略〉世に其名お専らにするは、信濃佐久郡也、天武紀に、灰零于信濃国と見ゆ、此岳高峻といへども、駅路其肩おめぐり、路ゆき人も遠大おしらず、浅間にありて、深邃お見ざるよりの名にや、絶頂に大坑あり、径十町ばかり、常に煙立のぼりて、硫黄の気あり、大焼の時は、五七里が間鳴動し、茶碗皿鉢の類も、響きて破るヽ事ありといへり、