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遊囊剰記
二十二
妙義山は、夏雲多奇峯といふべき山なり、妙義法師お祭てより、波古曾の神は、余所の白雲となる、山中に一宿して、明れば貫前の宮に赴く、〈◯中略〉 西上州記、妙義山は頂上まで黒き巌にて、嶮阻なり、或説に、黒髪山とは是なりといへり、常に白雲覆ふ故に、白雲山といふ、妙義とは権現鎮座已後の名なり、此御神は天台座主法性坊と申せしが、我慢に支られて天狗となり、此山に示現ましましヽとなり、