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万葉集
十七
立(たち)山賦一首并短歌 安麻射可流(あまさかる)、比奈爾名可加須(ひなになかかす)、古思能奈可(こしのなか)、久奴知許登其等(くぬちことごと)、夜麻波之母(やまはしも)、之自爾安礼登毛(しヾにあれども)、加波波之母(かはヽしも)、佐波爾由気等毛(さはにゆけども)、須売加未能(すめかみの)、宇之波伎伊麻須(うしはきいます)、爾比可波能(にひかはの)、曾能【多知夜麻】爾(そのたちやまに)、等許奈都爾(とこなつに)、由伎布理之伎底(ゆきふりしきて)、於婆勢流(おばせる)、可多加比河波能(かたかひかはの)、伎欲吉瀬爾(きよきせに)、安佐欲比其等爾(あさよひごとに)、多都奇利能(たつきりの)、於毛比須疑米夜(おもひすぎめや)、安理我欲比(ありがよひ)、伊夜登之能播仁(いやとじのはに)、余増能未母(よそのみも)、布利佐気見都々(ふりさけみつヽ)、余呂豆余能(よろづよの)、可多良比具佐等(かたらひぐさと)、伊未太見奴(いまだみぬ)、比等爾母都気牟(ひとにもつげむ)、於登能未毛(おとのみも)、名能未母伎吉底(なのみもきヽて)、登母之夫流我禰(ともしぶるがね)、多知夜麻爾(たちやまに)、布里於家流由伎乎(ふりおけるゆきお)、登己奈都爾(とこなつに)、見礼等母安可受(みれどもあかず)、加武賀良奈良之(かむがらならし)、可多加比能可波能(かたかひのかはの)、瀬伎欲久(せきよく)、由久美豆能(ゆくみづの)、多由流許登奈久(たゆることなく)、安里我欲比見牟(ありがよひみむ)、 四月二十七日、大伴宿禰家持作之、 敬和立山賦一首并二絶 阿佐比左之(あさひさし)、曾我比爾見由流(そがひにみゆる)、可無奈我良(かむながら)、弥奈爾於婆勢流(みなにおはせる)、之良久母能(しらくもの)、知辺乎於之和気(ちへおおしわけ)、安麻曾曾理(あまそそり)、多可吉多知夜麻(たかきたちやま)、布由奈都登(ふゆなつと)、和久許等母奈久之路多倍爾(わくこともなくしろたへに)、遊吉波布里於吉底(ゆきはふりおきて)、伊爾之辺遊(いにしへゆ)、阿里吉仁家礼婆(ありきにければ)、許其志可毛(こヾしかも)、伊波能可牟佐備(いはのかむさび)、多末伎波流(たまきはる)、伊久代経爾家牟(いくよへにけむ)、多知底為底(たちていて)、見礼登毛安夜之(みれどもあやし)、弥禰太可美(みねたかみ)、多爾乎布可美等(たにおふかみと)、於知多芸都(おちたぎつ)、吉欲伎可敷知爾(きよきかふちに)、安佐左良受(あささらず)、綺利多知和多利(きりたちわたり)、由布佐礼婆(ゆふされば)、久毛為多奈毘吉(くもいたなびい)、久毛為奈須(くもいなす)、己許呂毛之努爾(こヽろもしぬに)、多都奇理能(たつきりの)、於毛須比具佐受(おもすひぐさず)、由久美豆乃(ゆくみづの)、於等母佐夜気久(おともさやけく)、与呂豆余爾(よろづよに)、伊比都芸由可牟(いひつぎゆかむ)、加波之多要受波(かはしたえずば)、 【多知夜麻】爾(たちやまに)、布里於家流由伎能(ふりおけるゆきの)、等許奈都爾(とこなつに)、気受底知多流波(けずてわたるは)、可無奈我良等曾(かむながらとぞ)、 於知多芸都(おちたぎつ)、可多加比我波能(かたかひがはの)、多延奴期等(たえぬごと)、伊麻見流比等母(いまみるひとも)、夜麻受可欲波牟(やまずかよはむ)、 右掾大伴宿禰池主和之〈四月廿八日〉