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類聚名物考
地理十九
高野 たかの 紀伊国〈伊都郡〉 高野山ともいへり、今俗にはかうやと、音にのみいへり、此地ははるかに山お上りて、その山の上に平なる野の在れば、かくはいへるなり、高き所の野といへる意なり、さればそれお高野山といはん事も、その故聞えたり、しひたるにはあらず、ことに今の世には、寺院には山号とて、必ずその寺の別号の如くに、山号とて、なになに山といへるは、平地里市の中にて雲ひ習ひとなれるおや、